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オリーブの木

古代ギリシャ、国力繁栄の礎となったオリーブの木



モクセイ科の常緑高木、オリーブの木は旧約聖書に出てくるノアの箱舟に、鳩がその葉をくわえてきたハーブとして有名です。

果実にたっぷりとオイルが含まれているので、古代から油糧作物として活用されてきました。寿命が長く、干ばつに強く、節の多い常緑樹で、4000年以上前から栽培されてきたといわれます。

BC700年頃の古代ギリシャでは、オリーブの栽培によって国力を増大し、現代でいうところの石油産出国のような繁栄をわがものとしていました。

古代ギリシャ、国力繁栄の礎となったオリーブの木
古代ギリシャ、国力繁栄の礎となったオリーブの木

オリーブの木は神話にも頻繁に登場し、古代エジプトでは女神イシスによってオリーブの栽培法や活用法が示されたとあります。またラムセス3世(BC1150頃、エジプト新王国第20王朝2代目のファラオ)は太陽神ラーへの捧げものとして、神殿に灯りをともす油のためのオリーブ畑を作りました。




守護女神アテネから、人類へ贈られたオリーブの木


ギリシア神話で有名な、女神アテネVS海神ポセイドンの国とり物語。 古代都市国家アッティカを誰が統治するのか決めるため、 「どちらが市民に役立つ贈り物ができるか」勝負が実施されます。 YouTubeの企画ネタみたいなお話ですw

海神ポセイドンの贈り物は ・塩水の湧き出る泉 ・戦に役立つ馬

女神アテネの贈り物は ・食用できる実 ・オリーブの森


結果勝者は女神アテネとなりました。


アッティカの守護神となったアテネにちなんで、アッティカの中心地はアテナイと呼ばれ、 世界初のオリンピック・オリュンピア大祭が開かれ、勝者に授けられる冠はクレタ島のオリーブの木から作られました。

BC5世紀、古代都市国家 アテネ(アテナイ)で発行されたドラクマ銀貨には、都市の守護女神アテネの横顔が彫られ、その兜にはオリーブ模様、また銀貨の裏面にはアテネ神の聖鳥フクロウとオリーヴ、そして三日月が刻印されています。

聖鳥フクロウにならんで蛇も女神アテネの象徴です。



世界の中心で常識を叫ぶ、時代のヒーロー

神々の系譜はギリシャ神話、オリエント神話など、だいたい3代にわたる変遷があり、ギリシャ神話の場合

・初代天空神ウラノスと大地母神ガイア ・2代目となるその子供たちのティタン族 ・3代目にゼウス、ポセイドン、ハデスの3兄弟をはじめとする有名どころの揃い踏み


となっています。


息子が父親から王権を奪い取る神話元型は、時代によって求められるヒーロー像が変わってゆくプロトコル。 なにを正義とするかは、その時代のヒーロー像に託されます。


ヒーロー像=中心軸が固まると、常識や通念が決定され、歴史と呼ばれる時代設定が、さまざまな物語を生み出すことになります。 正義も常識もヒーロー像も変化していくことで、摩擦や葛藤が生まれて、ドラマティックな展開や刺激がちりばめられ、生きることから目を離せなくなる。

宇宙が拡大・膨張しているのは、細胞分裂するように大元の原型が分岐していくことに等しいのではないかしらん。 初代から2代目、3代目と神々が分裂して、創造と誕生がくりかえされ、その都度正義の中心軸は変わってきました。 日本でも戦後、劇的な文化の変遷があり、大和魂は大きく書き換えられたと思います。 新生世代によって中心軸が交代するのは、避けられない時間のながれ、それを、運命と呼ぶのでしょうか。


脈々と受け継がれる女神崇拝

ゼウスの父クロノスが「自らの子供たちによって覇権を略奪される」と予言を受けたように、ゼウスもまた「自分の子供たちによって王権を簒奪される」と予言されます。


予言を恐れて、長女アテネを身ごもった、最初の妻メテュスを飲み込んだゼウス。 結局は自分の父親クロノスと同じことをしているわけですが、胎児はその後ゼウスの体の中で生き続け、成長し、成人の姿でゼウスの頭から誕生します。 女神アテネ爆誕!です。

古代ギリシャは文化・文明が発達し、世界にギリシャ神話が流布されましたが、もともとその地には先住民族がおり、母権社会で、守護女神崇拝はその時代から、ギリシャの地に根づいていました。 先住民たちの崇拝する守護女神は、人面蛇身で顔を見た者を石に変える大地の女神メテュスです。 メテュス(メドューサ)は、ゼウスの最初の妻、アテネを身籠ったとされるメティスと考えるなら、蛇を象徴とするアテネともつながります。


現代では評判ガタ落ちのメドューサですが、神話は光と影の片側だけしか表現しないので、見たものを石にする御業をもっているメドューサは、石になったものに生命を宿す御業も持っているのです。

BC2000年頃のエーゲ文明・クレタ島で栄えた青銅器文明のころから、時代の勝者・古代ギリシャ人にその地を奪われてなお、脈々と受け継がれてきた守護女神崇拝。 メテュスを母にもつ女神アテネは、初代神の系譜ともいえますし、3代に続く神々のマウント合戦によって、つどつど名前や役職(知恵の神とか、戦いの神とか、処女神とか)を変えているものの、もとは同じ、女神メドューサからの分岐女神ではないのかな、と。


日本神話とは、男女逆転しているギリシャ神話。 12柱神で構成されるオリンポス勢は、アマテラス勢。 ティタン族や母権社会の古い神々勢は、スサノオ勢って感じでしょうか。

古くから女神信仰が強かったクレタ島、そこで育ったオリーブの木を特別な冠にするという風習や、銀貨に施された女神アテネのオリーブ模様の兜など、オリーブの木が古い時代から地球に根をはり、初代の神々と協働してきたことを彷彿とさせます。


神々のお座布団

新約聖書に記されているオリーブについては、イエス・キリストが普段から、オリーブ山のふもとのゲッセマネ(オリーブの油搾り場)の園で祈ることを好み、最後の晩餐の後もゲッセマネの園で最後の祈り・ゲツセマネの祈りを捧げた、というのが有名なお話です。


現存するエルサレムのオリーブ山。 ゲッセマネは北西のふもとにあり、オリーブ山は世界中にある霊峰のひとつです。

植物の園は、いってみれば神々が降り立つお座布団。 日本では藤棚や梅や桜など、季節ごとに開花する広大な植物園が各地にありますが、花が開くとその地一帯の気配に明るさと神聖さが増し、まるで植物たちが交代で、神々降臨お座布団を準備しているようにも感じます。


エルサレムの霊峰オリーブ山は、一年をとおして緑葉を絶やさず、いつでも守護女神が降臨できるよう敷きつめられている、お座布団のひとつなのではないかしら、と感じています。


女神イシスから、女神メテュス、そして女神アテネへ。受継がれてきた人類への贈り物。

風水にもよい?!オリーブの木


香りのよいオリーブオイルは緑がかった黄金色で、ビタミン類が多く含まれています(A、D、E、K)。主成分となるオレイン酸には動脈硬化や心疾患への予防効果があるといわれており、ポリフェノールの含有量は、品種や熟成度によって異なります。


ブラックオリーブ(冬に収穫する熟成したもの)は、その色味からも想像できるようにアントシアニンが豊富に含まれますが、総合してポリフェノール含有量が最も多いのは熟成度の低い、秋口に収穫されるグリーンオリーブです。


品種は1200以上もあるそうですが、現代では育てやすい苗木や植木が手に入りやすくなりました。

小さくて緑がかった銀灰色の葉は一年中枯れることなく、初夏には可愛らしい白花を咲かせます。霜が降りる地域での生育はむずかしいようですが、適度な寒さにもあてないと、花や実を結実できません。雪が降る地域は冬季間室内に入れておけば、銀灰色の常緑を楽しむことができます。


女神アテネは知恵と戦の女神といわれますが、戦いを好む神というわけではなく、自陣を攻めてくる相手に徹底的に抗戦する、守護の女神です。

植木を玄関に置いておくと、守護女神降臨お座布団として、おうちを守ってくれそうで心強い。実の収穫でお腹も満たされ、一年中緑を楽しむことができ、さらに風水的にも効き目が強そうなオリーブ。女神アテネと相性がよさそうと感じるなら、おうちに持っておきたいハーブのひとつです。




*当ブログで紹介している植物の一般的な性質は化粧品の効能を示したものではありません。









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